東京大学の研究グループは、原子間力顕微鏡(AFM)を用いて、固体表面上の個々の原子の電気陰性度を測定することに成功した。これまでは、各元素につき1つの電気陰性度の値が定められていたが、今回、同一の元素でも、周囲の化学環境(どの元素とどのように結合しているか)によって電気陰性度が変化することを実証した。

 電気陰性度は、原子が化学結合を形成する際に電子を引き寄せる強さの尺度を表す。これまで集団平均的にしか測定できなかったこの値を、個々の原子に対して定量化することを可能にしたのがAFMだ。AFMは、鋭い針を観察対象に近づけ、針先端の原子と試料の原子との間の化学結合力や結合エネルギーを測定することで表面形状を観察できる装置。本研究では、AFMによって世界で初めて単一原子の状態で各元素の電気陰性度評価に成功した。

 本研究の手法により、さまざまな化学環境下に置かれた元素の電気陰性度を測定することができる。触媒表面の各原子や反応分子の化学活性度評価、反応によって生じた生成物の分子や原子の元素識別などに応用できる可能性がある。原子スケールの化学や材料科学に今後更なる発展をもたらすことが期待される。

論文情報:【Nature Communications】Electronegativity determination of individual surface atoms by atomic force microscopy

東京大学

明治10年設立。日本で最も長い歴史を持ち、日本の知の最先端を担う大学

東京大学は東京開成学校と東京医学校が1877(明治10)年に統合されて設立されました。設立以来、日本を代表する大学、東西文化融合の学術の拠点として、世界の中で独自の形で教育、研究を発展させてきました。その結果、多岐にわたる分野で多くの人材を輩出し、多くの研究成[…]

大学ジャーナルオンライン編集部

大学ジャーナルオンライン編集部です。
大学や教育に対する知見・関心の高い編集スタッフにより記事執筆しています。