群馬大学、明治大学、日本パレットレンタル株式会社(JPR)は、新エネルギー・産業技術総合開発機構が公募した助成事業「Connected Industries推進のための協調領域データ共有・AIシステム開発促進事業」において、飛躍的な物流の効率化を目指す共同輸送マッチングシステム「ホワイト物流を実現する業界横断型共同輸送マッチングサービス」を提案し、採択された。

 昨今、物流業界では”物流危機”が叫ばれている。運送業に関わる年代別就業者構成比の7割以上は40~60代が占め(全日本トラック協会「日本のトラック輸送産業 現状と課題2018」)、全産業と比較すると労働時間は2割長いにも関わらず、年間所得額は1割少ないという実態(厚生労働省「賃金構造基本統計調査」)を抱え、トラックドライバー不足は社会的課題となっている。

 一方、トラックの積載効率は40%(国土交通省「物流を取り巻く現状について」参照)で、この低い積載率の要因の1つは、長距離輸送での空車回送にあり、改善の余地は大きいと考えられる。また、政府の物流や物流行政の指針を示した総合物流施策大綱(2017~2020年度)において、連携・協働による物流効率化が目標に掲げられ、”個別最適化から全体最適化”へ、”競争から共創”へのシフトが強く求められている。

 これらの”物流危機”を解決すべく、JPR、明治大学、群馬大学は、物流のノウハウとAI技術を駆使し、連携・協働によるメリットが高い企業同士を抽出してより高効率な物流網を提案する「共同輸送マッチングシステム」の開発を目指す。

 明治大学は、総合数理学部の数理データサイエンスを専門にしている乾孝治教授の知見を活かした輸送コスト算出のモデル開発、群馬大学は社会情報学部ソーシャル数理研究室(吉良知文准教授、市原寛之研究員)が参画し、数理最適化や協力ゲームの理論(複数の事業者による協力が成立するための条件や協力時の公平な費用負担などを議論する数学理論)の立場から、共同輸送マッチングシステムのコアエンジン(AI)の開発を支援する。

 今後、本システムによって多くのマッチングを成功させ、トラック輸送の飛躍的な効率化を狙うだけでなく、さらに、物流のグローバル化が進む中、海外でも共同輸送におけるマッチングのニーズも高まると考え、日本国内にとらわれない共同輸送マッチングで、グローバルな物流の効率化への貢献も目指していく。

参考:【日本パレットレンタル株式会社ホワイト物流を実現する業界横断型共同輸送マッチングサービス事業がNEDO 助成事業に採択されました(PDF)

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