筑波大学国際統合睡眠医科学研究機構のミハエル・ラザル准教授らの研究グループは、モチベーション(やる気)に関与する脳部位である側坐核が睡眠覚醒を制御することを初めて発見した。

気持ちが高ぶっている時や何かに没頭している時は眠気を忘れることが多く、反対に、刺激がなく退屈な状況では眠気を感じることは、誰もが経験するだろう。つまり、睡眠不足や体内時計などの生理的な欲求とは別に、感情や認知的要因も睡眠覚醒行動に影響を与えることが分かっている。両者はそれぞれ別のメカニズムにより調節されていると考えられてきたが、その脳内のしくみについては全く明らかになっていなかった。

同研究グループは、今回、マウスを用いた一連の実験により、睡眠覚醒における側坐核の機能を解析した。その結果、側坐核の特定のニューロンを選択的に活性化すると、睡眠が強く誘発され、抑制すると逆に覚醒量が増加することが分かった。長期覚醒させてもこのニューロンの活動に変化はなかったが、好物の食ベ物や異性のマウスなど、モチベーションを上げる出来事が起こるとニューロンの活動が低下し、覚醒に至ることが分かった。従って、このニューロンの活動は、睡眠覚醒制御に重要であり、特にモチベーションに応じて調節されることが明らかとなった。

論文情報:【Nature Communications】Slow-wave sleep is controlled by a subset of nucleus accumbens core neurons in mice

筑波大学

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