岡山大学の山中寿朗准教授らの研究グループはが鹿児島湾内の桜島北東沖に位置する海底の活火山「若尊(わかみこ)」の活動で放出される二酸化炭素の放出量が観測以来の最高値に達したことを発見しました。桜島の活動との関連も疑われており、今後も観測を続けていくとしています。

 カルデラは火山活動によって窪んだ地形であり、鹿児島湾の桜島北側の海域には巨大カルデラが海面下に存在しています。このカルデラの現在の火山活動の中心が若尊であり、海底から活発に二酸化炭素などのガスを放出しています。このガスは海面まで到達し海が沸騰しているように見えることから「たぎり」と呼ばれ、漁業関係者の間でよく知られています。

 グループでは2007年から鹿児島湾で海水資料を採取・分析し、海底火山からの二酸化炭素放出量を計測してきました。少ない年の年間放出量は7万トン前後、これまでの最高値は2009年に計測された13万トンでした。しかし、2015年の7月の調査では18万トンという過去最高の放出量を記録しました。この翌月には近接している桜島の火山活動も活発になり、噴火警戒レベルが4に引き上げられるということがありました。これによって若尊と桜島の活動は無関係であると考えられていましたが、関連性がある可能性が出てきました。

 海底における火山活動は観測しづらく、継続的な観測が困難です。若尊は人々の生活圏とも隣接しており人的被害につながることも考えられます。グループではこの研究を通して海底火山の観測技術の確立を目指すとともに、若尊と桜島の火山活動の関連性を検証していくとしています。

出典:【岡山大学】海底活火山「若尊」からのマグマ由来CO2放出量が急増 観測以来、最高値を検出

大学ジャーナルオンライン編集部

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