沖縄科学技術大学院大学の研究チームは、沖縄県を代表する食用海藻である「海ぶどう」の全ゲノム解読に成功した。

 海ぶどうは、たった1個の細胞でできているにも関わらず、長さ10~20cmにもなる不思議な生物だ。この巨大な単細胞海藻のゲノム解読に、次世代型ゲノムシーケンサーを駆使して世界で初めて挑んだ結果、海ぶどうのゲノムのサイズは養殖・栽培されている農水産物の中でも最小クラスの2,800万塩基対で、遺伝子の数もわずか9,000ほどであることが明らかとなった。

 さらに、遺伝子の中から海ぶどうに特異的な特徴を探した結果、タンパク質の細胞内の配置を制御する遺伝子が失われつつある一方で、細胞核の物質の出入りを制御する遺伝子や、陸上の緑色植物で生活環境や葉の形作りなどを制御する「TALE型ホメオボックス遺伝子」などが多様化していることがわかった。このことは、海ぶどうの不思議な形作りが、多細胞生物や微細な単細胞生物とは異なるメカニズムでタンパク質を必要部位に配置したり、細胞核自体が物質の輸送を制御したりすることで実現されていることを示唆している。一方で、海ぶどうは陸上植物とは全く別の生物であるものの、成長に関しては陸上植物と同様にTALE型ホメオボックス遺伝子が関わっている可能性も示唆された。

 本研究で解読された海ぶどうのゲノム配列と遺伝子の情報を用いることで、養殖関係者を悩ませる海ぶどうの生育不良の原因解明や、生育不良を起こしにくい品種の選別や作出が可能となると期待される。また、巨大な単細胞生物が複雑な形を作り上げる仕組みを解き明かすための研究基盤が確立されたことで、将来的には粒の大きさや数などを自在に制御することも可能になるかもしれないという。

論文情報:【DNA Research】A siphonous macroalgal genome suggests convergent functions of homeobox genes in algae and land plants

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