近畿大学水産研究所新宮実験場(和歌山県新宮市)は、「近大キャビア」の量産を目指し、従来飼育のベステルに代えて新たに純粋種のシベリアチョウザメの飼育研究を開始した。

 近畿大学水産研究所新宮実験場では、これまでチョウザメのベステル(オオチョウザメとコチョウザメの交雑種)を飼育研究し、産卵したものを「近大キャビア」として販売してきた。しかし、交雑種であるベステルは繁殖できなくなる可能性があり、永続的な養殖が難しい。そこで、新たに純粋種のシベリアチョウザメの導入に踏み切り、2017年12月、ドイツからシベリアチョウザメの受精卵1万粒を入手した。

 シベリアチョウザメは、日本でも水族館などで最も古くから飼育されているチョウザメで、環境変化に適応する能力が高いため、飼育が容易で養殖に適しているとされる。チョウザメの中では比較的成熟が早く、ベステルよりも早い5年程度で採卵できるうえ、キャビアに加工しても味に遜色はない。

 現在、ふ化した稚魚は7千尾ほどが約3センチに成長しており、飼育状況は安定しているという。水産研究所では今後、味の良いキャビアを作るための卵質の研究や、キャビアを量産するためにメスだけを産み分ける研究などに取り組むとしている。

大学ジャーナルオンライン編集部

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