東京23区にある大学の定員増を原則として10年間認めないとする地方大学振興法が、参議院本会議で与党などの賛成多数で可決、成立した。大学進学に伴う若者の東京一極集中を是正するのが狙いで、地方大学と手を組み、地域の産業振興に取り組む地方自治体への交付金制度も創設する。

 参議院によると、法案は投票総数229票のうち、政権与党の自民、公明両党のほか、野党の立憲民主党・民友会、日本維新の会、無所属議員ら182の賛成票を集めて可決、成立した。反対票は47票で、野党の国民民主党・新緑風会、共産党、希望の会(自由党、社民党)などが反対に回った。

 法案は既存学部改廃に伴う新学部の創設や社会人、留学生の受け入れなどを除き、大学の収容定員増を2028年3月まで認めないとする内容。別に政令で東京23区を対象地域に指定する。

 新交付金は地域の専門人材育成や中核産業振興が対象となり、政府は2018年度予算に100億円を計上している。こうした事業を通じて地方大学の魅力を高め、東京へ流出する狙いを持つ。

 人口の東京一極集中は20代の若者が中心で、就職時とともに大学進学時に東京へ移り、そのまま東京で就職するケースが目立つ。政府は東京23区にある大学の定員をこれ以上拡大させないことで歯止めをかけたい考えだが、東京都が2月、小池百合子知事名で反対の緊急声明を出したほか、日本私立大学連盟も反対意見を表明していた。

参考:【参議院】地方大学振興法本会議投票結果
地方大学振興法案(PDF)

大学ジャーナルオンライン編集部

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