国立大学協会(会長・里見進東北大学長)は、財務省が財政制度等審議会で国立大教職員数の適正規模や授業料引き上げ、運営費交付金のさらなる削減の意向を示したことを受け、国立大各校の見解や地方大で授業料を引き上げた際の影響について資料を公開、値上げへの慎重な対応と大都市圏以外での高等教育の機会均等を訴えました。

 国立大学協会は、財政制度等審議会で示した財務省の意向に対し、教職員数の増加は若手の任期付き職員や付属病院の医療系スタッフ拡充によるもので、常勤職員の人件費が減少していることを指摘。授業料の値上げに対しては、値上げありきの議論は適当でないとし、物価や賃金など経済状況を検討しながら、慎重に考えるよう求めました。
授業料値上げに影響については、自己収入の増加をすべて授業料で対応しようとすると、将来は私立大の年間授業料を上回る可能性があるとし、地域格差や経済格差で進学できない学生を生みかねないと指摘しています。

 岩手大学は授業料の大幅引き上げは教育格差の拡大につながりかねず、東日本大震災からの復興や地方創生の実現に影響を及ぼすと反発しています。徳島大学は2004年の国立大学法人化以後、運営費交付金が減らされ、自律的な改革や機能強化が難しくなっていると指摘しました。佐賀大学は現在の経済情勢化で自己収入の増加を見込むことは困難との見方を示しています。

 また、国立大学協会は、国立大学振興議員連盟の総会で国立大学の機能を強化するため「国立大学法人運営費交付金の拡充に関する決議」を採択し、坂井学財務副大臣に提出、基盤的経費の安定的確保を要請しました。

参考:【国立大学協会】財政制度等審議会における財務省提案(H27.10.26)に対する各大学の経営協議会学外委員等による声明(12/10現在)

大学ジャーナルオンライン編集部

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