名古屋大学総合保健体育科学センターの藤井慶輔日本学術振興会特別研究員PDらのグループは、集団において様々なレベルで起こる問題に対し、そのレベルに応じて幾層にも重なった柔軟な協力行動の構造を集団球技を通して世界で初めて定量化したと発表。

 研究では、国内トップレベルの大学のバスケットボール選手に協力してもらい、実際のゲームに近い5対5の練習において10人とボールの動きをモーションキャプチャーで記録。攻撃チームの様々なプレーに対する守備チームの対処行動に着目し、守備選手がどのように助ける役割を変化させ、どのような結果になったかを定量化した。集団競技では、実際の社会のように問題・危機が頻発し、全てを事前に防ぐことはできないため、チームワークが必要となり、球技ではそれが目に見えて計測可能なため、協力などの人間関係を理解するための重要な題材となり得る。また、近年、球技のプロリーグなどで商業的に用いられている競技中の選手の位置を自動で計測するシステムに、今回の研究で使用したチームプレーを評価するシステムを組み合わせることで、これまでの科学で未解明であったチームワークの定量化も期待できるという。
この研究成果は2016年4月5日付けで英国科学雑誌「Scientific Reports」に掲載された。

名古屋大学

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大学ジャーナルオンライン編集部

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