『教養探究ゼミ』を始めた背景とその狙い

近年、多くの大学では大学進学率の高まりや学生の質の変化に対応して、初年次教育や導入教育、あるいは自校教育など、新入生を対象にきめ細かな対応を行っています。また、就職指導を含むキャリア教育に力を入れる一方、学問・研究の極端な細分化やグローバル化の進展を背景に、教養教育の再評価も進んでいます。ただ、キャリア教育を除けば、多くは1、2年生が対象で、講義形式によるものが多いようです。

その点、『教養探究ゼミ』では、学生は4年間を振り返って、大学で身に付けるべき力が自分に備わったのか、専門性という針を十分に磨けたのかをあらためて振り返ることができます。就職の決まった学生には、社会へ出るための心構えを、卒論に取り組む学生には、専門性を磨く意義に気づき意欲を高めてもらうこともできます。また高齢化社会においては、生涯に亘って学び続けることが求められますが、『教養探究ゼミ』での学びはそのための起点、原点にもなるのではないかと考えています。

そもそも大学では、3年、4年と学年が進むにつれ、ほかの専門や学部、学科に進んだ仲間との交流は部活やサークルを除けば少なくなっていきがちです。しかし学部横断型のこのゼミでは、共通のテーマについて異なる視野を持つ仲間と意見を交わすことができますから、自己本位に陥ることなく広い視野と総合的に考える力を養うこともできます。

ゼミの最後の部分では、ラテン語でアルママーテル(Alma Mater:「学びの母」)といわれる母校と、自分がそこで得たものを振り返り、これから船出する厳しい社会の荒波の中での拠り所、自信を育んでもらいます。

昨年から趣旨に賛同する国際教養学部の教員がそれぞれの専門、持ち味を活かして、ユニークな形で『教養探究ゼミ』に取り組んでいます。《始まりがあるなら、締めくくりもあるべきだ》との考えが、大学全体に広がっていくことを期待しています。

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中京大学

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大学ジャーナルオンライン編集部

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