大阪大学産業科学研究所の能木雅也教授、大阪大学大学院工学研究科博士後期課程の春日貴章さんらの研究グループは、紙のセルロースナノファイバーで作ったIoTデバイスの開発に成功した。使用後、自然環境内に放置しても1カ月程度で土に還る特徴を持ち、回収の必要がない。

 大阪大学によると、研究グループは木材に由来する透明な紙のナノペーパーをIoTデバイスの基盤や情報収集用の湿度センサー、情報発信用のコンデンサー誘電層に応用、それら紙の電子部品を組み合わせてIoTデバイスの開発に成功した。土の中で総体積の95%以上が分解する。

 今回の開発は紙を材料にしたIoTデバイス実現のプロトタイプといえ、今後さらに高性能な土に還るIoTデバイスが実現すれば、生活を彩る草花のようにどこにでも設置でき、自然のサイクルと調和した環境モニタリングが可能になる。

 農業や製造業、医療の現場などあらゆる場所でさまざまな情報を収集し、多方面と接続することができるIoTデバイスは、欠かせない存在になりつつある。しかし、寿命を迎えたIoTデバイスの回収や電子ごみによる環境汚染が問題になると考えられている。特に、IoTデバイスは機能が向上するにつれて部品の数が増え、分解や廃棄処理の負担が大きくなるため、対応検討の必要性が高まっている。

論文情報:【ACS Applied Materials & Interfaces】Return to the Soil” Nanopaper Sensor Device for Hyperdense Sensor Networks

大阪大学

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