温暖化やそれにともなうさまざまな気候変動が叫ばれる中、温室効果ガスである二酸化炭素の発生を抑制するために、化石燃料に替わるエネルギー資源の開発が求められています。筑波大学は、藻類バイオマスのエネルギー資源としての実用化に向けて、7月1日付けで「藻類バイオマス・エネルギーシステム開発研究センター」を設立しました。

センター外観(出典元より引用)

センター外観(出典元より引用)

藻類バイオマスは、カーボンニュートラルで、オイル生産性が高く、トウモロコシやサトウキビ由来のバイオマスエネルギーと違い食糧生産とほとんど競合しない次世代エネルギー資源として期待されています。また近年、農業、環境分野、化学製品分野、医療・健康分野における産業応用も注目されています。しかし、その取り組みはまだ緒に就いたばかり。実用化や新産業創出を実現するために、従来の生物学を中心とした研究から学際的な研究へとシフトし、国内外の専門家や企業との協力を拡大させるとともに、国際的な研究と人材育成を行う拠点として、藻類バイオマス・エネルギーシステム開発研究センターが設立されました。

同センターの設立は、筑波大学の新たな組織のカテゴリーとして設置された「開発研究センター」制度の第一号。「開発研究センター」は、社会還元型の研究を推進しイノベーション創出を促進するために、外部資金等を事業運営費として、社会的要請の高い学問分野で共同研究開発を積極的に推進し、産学官の共同研究体制を構築する組織です。
藻類バイオマス・エネルギーシステム開発研究センターでは、今後、再生可能エネルギーのシステム開発や、藻類バイオマスの排水処理技術、農業用飼料、化粧品、医薬品などへの応用を進められていく予定です。

※カーボンニュートラル
環境化学の用語で、一連の人為的活動の中で排出される二酸化炭素と吸収される二酸化炭素が同じ量であるという概念

出典:【筑波大学】藻類バイオマス・エネルギーシステム開発研究センターを創設

筑波大学

文系、理系から体育、芸術にまで及ぶ学問を探求し、学際融合、国際化への挑戦を建学の理念とする未来構想大学。

筑波大学は1872(明治)年に開校されたわが国初の師範学校が始まりです。その後、昭和48年に移転を機に東京教育大学から筑波大学へと変わりました。現在の教育体制は9学群、23学類ですが、学生は枠組みを超えて講義を受けることができ、創造的な知性と豊かな人間性を備え[…]

大学ジャーナルオンライン編集部

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